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コロナの千乃 安倭による3人ピンナップクリスマス2020(横)
イラストSS
相も変わらずシャイネンナハトは仕事だろうか。
コロナは天義騎士団の詰め所へと顔を出し「こんばんは」と微笑んだ。
仕事中のリンツァトルテの手元を覗き込んで居たイルは驚いたように肩をびくりと跳ねさせた。
「っ―――!?」
「こんばんは」
「な、なんだ、コロナかぁ……」
何処かほっとした様子のイルの気配を感じ取ってからコロナはくすりと小さく笑った。
ぴたりと傍らに寄り添って、来客であるコロナの対応に応じるイルへと囁いた。
「二人きりだったではないですか」
その言葉にイルは息を飲む。そう、こんな揉め事の少ない日に仕事を選んだリンツァトルテをわざわざイルは手伝っていたのだ。リンツァトルテは仕事一筋だ。こんな日でも仕事をすることは想定していた――が、イルは『彼がいるから』という理由でここに居るだろう。
「じ、実は……」
「やりましたね」
揶揄うように囁けばイルの頬にみるみるうちに朱が昇る。
「こ、これはその」
「イル? ああ、コロナ殿か。こんばんは」
イルの様子を不審に思ったリンツァトルテが振り返れば、コロナは「こんばんは」と表情一つ変えずに応じる。
大慌てのイルは「先輩、ケーキです!」と大騒ぎである。
……それもそうだろうか。シャイネンナハトは一緒に過ごしたいという乙女心を全力で発揮していることは秘密なのだ。
「先輩、その、休憩しませんか? コロナがケーキを差し入れしてくれましたし!」
「ええ、お二人が仕事と聞いて。折角なので如何ですか?」
柔らかなコロナの声音にリンツァトルテは頷いた。そろそろ休憩しても良いだろうと手にしていた書類を何気ない仕草でイルへと手渡す。そそくさと書類を持って駆けていくイルの気配が遠ざかったことに気付いてから、コロナは「二人きりだったのですか?」とリンツァトルテへ問い掛けた。
「ああ。こんな夜だ。そもそも騎士団の人出も疎らだ」
「お休みなされば宜しいのに」
「……誰かが居なくてはならないだろう? イルは休んでも良かったが、本人の希望だ」
無碍にも出来まいと応えたリンツァトルテにコロナは「本当に、何というか」と小さく笑みを零した。
――貴方がいるからですよ、と言ってやりたくて仕方が無いその言葉を飲み込んで。
*SS担当者:夏あかねGM