イラストSS

「――何かの撮影会ですっけ？」
　そう問うたひよのに寛治はきちんと企画書を差し出した。
　クリスマスの喧噪に紛れて現われる怪物を倒すために一夜限りのヒーローとなるらしい。

「ひよのんって、私ですよね」
「ええ」
「これ、本当にあるアニメですか？」
「さあ」
　……信用出来ない眼鏡だ、とひよのがまじまじと寛治を見遣った。

　――悪の帝王ニッタマンに捕まっちゃった！　今すぐカメラ片手にひよのんを助けに行かなきゃ！

「この悪の帝王ニッタマンって寛治さんですよね」
「いえいえ、夜妖ですよ」
「この格好をすれば夜妖が呼び出せるんですか？」
「勿論です」
「……何故？」
　尤もな問い掛けであった。
　企画書に謎も多いが、ポーズと格好もきわどい。ひよのは「何故？」ともう一度問うてからううんと頭を悩ませた。
「……良いですよ」
「そうですか――え？」
「良いですよ。可愛らしく撮影して頂けます？」
　寛治はその時、理解した。
　音呂木・ひよの――先輩と巫女とクールビューティーが同居して属性渋滞を起してるこの少女、割りと何でもしてくれる方だと。
「では、衣裳に着替えますので。……待って下さい。本当にコレ？　さっき見たより布が少ない気が。寛治さん？　もしもし？」


　　＊SS担当者：夏あかねGM