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雪下 薫子の糸巻茜による2人ピンナップクリスマス2020(横)
雪下 薫子の糸巻茜による2人ピンナップクリスマス2020(横)
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それは栄龍なりの頑張りではあったのだろう。
記念すべきシャイネンナハトの夜、婚約者ともう一歩を願うのはごくごく当たり前なこと。
そのためにお酒の力を頼ったのも(理性を飛ばすことにいろいろ意見はあろうが)手段の一つではあると思う。
だがなかなかどうしてうまくいかないものか、飛んでしまったのは栄龍の理性より先に意識の方。
お酒の力に導かれ、うとうとこっくりこっくりと眠り始めてしまった栄龍を見て薫子は優しく笑う。
「仕方ない人ですね」
冷えないようにと肩に布団を掛けて、その寝顔を見つめる。酔って赤みを増した頬、気持ちよさそうな寝顔。起こしてしまうのは少し悪い。
でもこのままでは体を痛めてしまうだろうから、後で寝床を整えなければ。そんなことを考えながら栄龍の顔を見つめる薫子。
ふと彼の口が小さく動いた。気になって耳を澄ませてみると何か言っている。
「どうされたのですか?」
問いかける薫子に応えるように栄龍の口が再び開く。
「――――――」
その言葉は薫子の耳にだけ届く、ごく小さなもの。
「もう、仕方ない人ですね」
薫子の口から先ほどと同じ言葉がこぼれ出た。ただその表情はとても嬉しそうであったという。
*SS担当者:心音マリNM