イラスト詳細
さんた!
イラストSS
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キラキラと輝くツリーの上に、小雪が音もなく次々と舞い降りている。冬の陽射しに輝く木の実のように、シャイネンナハトのために飾りつけられた金や銀の玉が輝きを放っていた。
パーシャ・トラフキンは仲良しの女友だちに両端からぎゅっと挟まれた。
「私たちはずっと仲良しでいましょうね」
笑って、というカメラマンの声の下に隠すように、あるいはそっと祈るように呟く。
すると、久留見 みるくが腰に腕を回してきた。自分の腕にあたる大きな胸の柔らかな暖かさを感じた。
「うん、ずっと友達でいよう。約束する」
みるくの吐息が前髪を微かに揺らす。
「え、聞こえていました?」
独り言を聞かれてしまった恥ずかしさから、どんな顔をすればいいのか困っていると今度はアンジュ・サルディーネが腕を絡ませてきた。
「バッチリ聞こえてたよ。あ、ほら、前を見て! エルキュールも入って、はやく!」
呼ばれてエンジェルいわしが白い羽をパタパタさせて飛んできた。いつも巻いている青いマフラを、シャイネンナハトの今宵は赤に変えている。
はい、チーズ。
シャッターが切られた。練達製の活動写真はその場で出来上がる。みると光り輝くツリーをバックに、三人と一匹がちょっぴりかしこまった笑顔でフレームに収まっていた。
三人が特に注目したのがエンジェルイワシのエルキュールだ。顔を少し斜めにして、微笑んでいる。
「みて、みて。カワイイ」、とパーシャ。
「さりげなくキザってるね」
「ほんとだ。おいしいところ持っていかれた~」
端にちょこんと写りながらも視線をバッチリ持っていったエンジェルいわしを、三人でキャアキャアいいながらいじる。当のエンジェルいわしは、何の事ですか、といった風情で尾びれを揺らしていた。
ひとしきり記念写真で盛り上がった後、パーシャは雪が降る夜空を見上げた。
「なんだかちょっぴり寒くなってきましたね」
「――だね。あっちで焚き火にあたろう」
アンジュは広場の中央で焚かれた焚き火に歩み寄った。パチパチと爆ぜる焚き火を見てから、後からゆっくりやってくる二人を振り返る。
「えへへ、聖夜祭の焚き火、ロマンチックだね」
「こんなシャイネンナハトの過ごし方も悪くない……」
みるくが焚き火に手をかざすと、パーシャたちも倣った。
「このあと、お茶をしにいきませんか? 実は……美味しいケーキのお店、予約してあるんです」
「行く行く!」
「でも、よく予約が取れたね。さすが」
シャイネンナハトのかがやく星の下、積もり始めた雪に足跡をつけながら三人は腕を組んでケーキのお店に向かった。楽しく笑っておしゃべりしながら。
*SS担当者:そうすけGM