イラストSS

「ニルさん、サンタクロースを知っていますか？」
「サンタクロース。いえ、ニルは初めて聞きました」
　その言葉を復唱し目を瞬かせる秘宝種に、旅人たるリレイン・ヴァースは教えてあげる。シャイネンナハトの夜は、どこかの世界でクリスマスという名前で。サンタクロースなる赤服の聖人が良い子にプレゼントを配るのだと。
　ニルの瞳が興味に瞬いた。サンタクロース。良い子にプレゼント。ニルは、そんなことをしたことがないから。
「ニルも、サンタクロースになれるでしょうか」
　その言葉にリレインは微笑む。その瞼は閉ざされていても、ニルのキラキラした瞳が良く見えているのだろう。

　そうしてシャイネンナハト、当日。着替えたニルはきょとりと目を瞬かせた。
「サンタクロースはこの服を着るのですね」
　ワンピースのような赤い衣装。つるつるの可愛らしい膝小僧がこんにちはしている。つるつるでぴかぴかのとても綺麗な膝小僧である。
「プレゼントの袋は持ちましたか？」
　そう問うリレインもまた膝小僧の見えるワンピースサンタである。こちらもつるつるで（以下略）綺麗な膝小僧である。若干デザインは異なるが、頭の帽子はお揃いだ。
「ニルはばっちりです。リレイン様、行きましょう」
　プレゼントを届けに。子供達の笑顔が2人を迎えるまで、あと少し。


　＊SS担当者：愁GM