イラストSS

「ああ、なんだか賑やかだと思いました。道理で。今日は――シャイネン・ナハトですか」
「知らなかったのかね？」
「まさか。飲んでいるうちに忘れていたんですよ」
　ナイジェル＝シン(p3p003705)はちらりと時計を見た。
　今日は、エダがジョッキをあおるペースはいつもよりはやい気がする。そういえば、はじめて出会ったときも、酔い潰れていたのではなかったか――。
　エダはおかしそうにテーブルの上の小さなクリスマスツリーに視線をやった。慈しむような仕草ではあるけれど、当たり前の幸せは自分には縁がないものだというように、どこか他人事にも思えた。
「こんな仕事ですから……カレンダーなんてあってないようなものです。シャイネン・ナハトだからって、賊は休んでくれませんし。もしかすると、魔種の方がお行儀が良いのかも知れませんね」
「人とは、愚かなものだ」
「こんな日にまで付き合ってもらうなんて、なんだか奥さんに悪いですね」
「そう思うなら、他の飲み仲間を作る努力をしてはどうかね？」
「ふふ……そうですね。善処します」
（やれやれ）
　敵討ち以外にも、エダは寄る辺を増やしていくだろうか。
　そうであればいい、とシンは思った。


　＊SS担当者：布川GM