イラストSS

　恋人達が楽しく過す、クリスマス当日。
　街はその浮かれ気分を示すが如く、オシャレな表通りはキラキラとしたクリスマスイルミネーションに彩られ、恋人達が肩を寄せて歩く。
「あはは……そうなんだ。それで……あ、うん」
　と、ジェックは街道沿いの、窓の大きなカフェに居た。
　暖かい部屋の中で、楽しげに友人と話をしている。
　その手にはホットドリンクと、机の上にはクリスマスケーキ……友人達と過す、楽しいクリスマスの安らかな一時。
　……そんな暖かい一時の一方で、窓越しの通りを歩いていたのはエルス。
「寒いわね……心も寒いわ……」
　はぁ、と手に息を吹きかける。
　恋人達の日とも言われる今日……でも、誘ったけれども断られてしまった。
　だから、そんなもやもやとした思いを晴らしたい……やけ酒を煽り、発憤したい、と。
　それに付き合ってくれる仲間達との待ち合わせ場所へと向かう。
　……向かいから、幸せそうな人達が歩いてくる。
「……」
　唇を噛みしめながら、その雑踏を躱していくエルス。
　肌寒い風……そして、カフェで楽しげに会話しているジェックにも気づくことなく、一人イルミネーション瞬く通りを歩くのであった。


　＊SS担当者：緋月燕GM