PandoraPartyProject

イラスト詳細

渡す先のない、けれど大切なプレゼント

作者 よしやん
人物 伊達 柚子
イラスト種別 シングルピンナップクリスマス2020(サイズアップ)
納品日 2020年12月24日

6  

イラストSS

 時の流れはどの世界でも変わらず――残酷だと思う。

 伊達 柚子は星降る夜空、ではなくて煌めく街並みを見下ろしていた。雪もちらついているけれど寒くはない。温かなケープを纏い、その胸には大切なプレゼントを抱えているのだもの。
(今年は、あげられないね)
 世界を越えて声が届くことはない。贈り物を届けることも叶わない。会えない彼が今どうしているのかも、柚子に知る術はない。
 そうと分かっていながらも柚子はプレゼントを用意した。この夜に渡したかったもの、には違いないから。渡せないから用意しなかった、なんて嫌だったから。
 眼下の街では家族で、友人で、恋人で今宵を過ごす人々がいる。そうした人がいる一方で柚子のように会えない人もいるのだろう。
 それでも時は平等に刻まれるのだから、やっぱり残酷だ。
 この世界に彼がいてくれたのなら。ううん、そもそも柚子が召喚などされなかったら。眼下の人々を見ていると、どうしてもそんな考えがよぎってしまう。彼らに罪はなく、勿論自身にも罪はなく。怨むのならば――召喚した神、だろうか。

 時間は残酷であるならば。願いを叶える優しい夜が、この想いだけでも届けてくれますように――。

PAGETOPPAGEBOTTOM