イラストSS

　光溢れるイルミネーションの中をイルミナは走り抜けていく。
　学生寮から出て、今日は学友とのパーティーの約束だ。クリスマス限定メニューを出すというカフェを予約しておいたと誇らしげなクラスメイトがaPhoneに送信してくれた地図を頼りに街を進む。
「えーと……」
「はろー、イルミナちゃんだ！　どうかしたのかい？」
「わあっ！？」
　背中からひょこりと靱やかに『猫のように』姿を現したなじみにイルミナはびくりと肩を跳ねさせた。希望ヶ浜在住のなじみはイルミナがaPhoneに表示させた地図を覗き込む。
「迷子ちゃん？」
「あ、実は――……えーと、ここに行こうとしてたんスけど……此処まで来て迷ってしまって……」
「ほんほん。あー、ここかあ！　ややこしいよね！
　ちょっと分かりやすい所までなじみさんが案内するよ！　お任せあれ！」
　こっちだよーと慣れた様子で歩き出すなじみの背を追いかける。もしかして彼女も何処かに行く途中だったのだろうか、と考えて「わ、悪いッスよ」と声を掛けるがなじみは満面の笑みだ。
「此処で出会ったのも何かの縁だよね！　ふっふ、なじみさんはクリスマスにイルミナちゃんと会えてうれしいぞ！」
「そ、そうッスか？」
「そうっすよ！　っと、はい！　ここから真っ直ぐで直ぐ看板が見えてくるからね！」
　いってらっしゃいと手を振ったなじみに「また！」とイルミナは手を振って走り出す。
「なじみさん、また明日！」
「うん、また明日ね！」


　＊SS担当者：夏あかねGM