イラストSS

　ソアのあくびが聞こえたのはもう何分前のことだろうか、しっかりとおぶりなおして、マリアは雪道を進み続ける。
　鉄帝、VDMランド行きのバス停に辿り着く。
　ほろほろ、零れ落ちるように振っていた雪はいつのまにやら大粒へ。
　ソアが身体を冷やしてしまってはいけない。己のコートを羽織らせて、またおぶってやる。
　のっしのっしと雪を踏む音がした。
　見覚えのある彼（？）とらぁ君はいつものように『とらぁ……』と挨拶（？）してくれる。
「とらぁ君……出勤かい？」
「とらぁ……」
　そのようだ。いや言語としては『とらぁ……』だけなのだが。
　すぅすぅと眠るソアは目覚めそうにない。
　雪はどんどん勢いを増していく。

　ブォォォオオン

　遠くから車のエンジン音が聞こえてきた。
　とらぁ君は小さな傘を畳み、車が来るのを待つ。
　マリアもそれに合わせて、なんとか傘を畳み終えるころに、その車はやってきた。
「ご主人！」
　そう、ブラックタイガー君が運転するVDMランド行きバスである。
「お疲れ様。今日もがんばってて偉いね！」
「とらぁ……」
　三人（？）はバスへと乗り込んだ。
　次は、VDMランド。


　＊SS担当者：染NM