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Scheinen Nacht2020/しもふりIL
Scheinen Nacht2020/しもふりIL
イラストSS
●ガラス中のクリスマス
美しいパーティードレスに、お洒落な手袋とマフラー。
美味しそうなチョコレートに、賑やかに飾られたツリー。
シャイネンナハト間近のショーウィンドウは、街行く者を惹き付ける。
メイメイが足を止めたのは、壜の中に草花を摘めたハーバリウムの前。
野に咲く春の赤いポピーに、香り立つ夏のラベンダー。
まん丸のジャムポットに、四角く長いオイルジャー。
それはメイメイに部族の掟で戻れない故郷の風景を思い出せる。
ガラスの向こうが夢の国なら、ガラス壜には永遠が詰まっていた。
「やあ、メイメイ。贈り物かい?」
「アレックスさま! これはたまたまいいなと思っただけで誰かにプレゼントなんて」
贈る相手もいなければ、誰かから貰えるアテもない。
飾り窓の奥の幸福を、外から羨ましく見ているだけ。
ガラスに映るメイメイに男の姿が重なる。
「時間あるならお茶でもどう? この中のカフェ、冬限定のチョコレートケーキが美味しいんだ」
「ご一緒していいなら是非! ハーバルショップならハーブティーも置いてあるのでしょうか」
メイメイは男と共に思い出を心の壜に詰めに行く。
ショーウィンドウの向こう側に美味しいお茶とケーキが待っているから。
*SS担当者:八島礼GM