イラストSS

「いらっしゃいませなのですよ！」
　元気な声が、カフェ・ローレットの店内に響く。再現性東京・希望ヶ浜。その一角に存在するこのカフェに、今日は可愛らしい看板娘が誕生していた。
「お、メイちゃんか！　今日は可愛いね！」
　仕事の休憩にやってきた商店街のおじさんに声をかけられた看板娘・メイ＝ルゥは、少しだけ得意げに、ふふ、と笑ってみせた。
「はいなのです！　見てください、この衣装！
　今年のクリスマスの流行は、ミニスカサンタさん、と、メイの独自のルートで情報をキャッチしたのです！
　ふふ、似合いますか？」
　くるり、と回ってみせる。
「あらあら、メイちゃんは流行に詳しいねぇ。とっても似合ってるよぉ」
　同じく、仕事の休憩にやってきていた商店街のおばちゃんが笑って言った。流行に詳しい、という言葉に、メイはとっても嬉しくなる。
「メイはシティガールなのですから！　当然なのです！
　あ、皆さん、ご注文をどうぞ、なのですよ！
　……なーんて、ふふん、メイは皆さんの注文は分かっているのです！　いつもの、ですよね！」
「お、そうだね！　いつものコーヒーを頼むよ！」
「あたしはいつもの紅茶をお願いね」
「はいなのです！　ふふ、今年のクリスマス、メイは頑張るのですよー！」
　にこにこの笑顔に、店内の人々も自然と笑顔になる。
　クリスマスガールの今年のプレゼントは、そのきらきらの笑顔なのだ。