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白夜 希の黒猫によるシングルピンナップクリスマス2020(縦)
白夜 希の黒猫によるシングルピンナップクリスマス2020(縦)
イラストSS
「ふぅ――……んくっ、んくっ……ふはぁ……」
深夜。白夜 希は唯一人で、地下の私室で酒精を煽っていた。
シャイネンナハト。輝かしき聖なる夜。奇跡の夜と人は言う。
なるほど確かに。今日という日は楽しかった。
どの街々でもお祭り騒ぎの出店、煌めく飾りに多彩な催し物、そしてそれらを楽しむ人々――
悪くない。いやとても良かった。希も素直な気持ちでその日を楽しんでいた。
それは奇跡という陳腐な物ではなく、人と人とが全力で、一生懸命に織りなした得難き時と空間で。
確かな充足感を得られた。――から、こそ。今こうして、一人私室で居ると妙な気分になりそうになる。
「ん、んー……あ、空だ。もう一本」
何も考えずに、全力でだらけながら酒精を飲み干す。
既に一升瓶を一本空けておいてだが、漸く酔いが回って来たらしい。
自身の行儀も装用もそこそこに酩酊感を受け入れながら、虚空を見遣る。
良き日故に、新たな日付になる事を惜しんで、全力で今日という日の空気に、その残滓に浸っていた。
次第に眠気がやって来る――眠気が、新たなる日に希を連れて行く。
「……ふふ。ま、いっか……」
更に一口、酒を煽り。僅かに口元に笑みを浮かべ、そう呟く。
見据える虚空の先は、きっと明日。そしてもっと先。
その日を、今日という良き日の様にする為に自分達は居るのだから。
――来年も、良い年になりますように。
*SS担当者:黒矢NM