イラスト詳細
エルス・ティーネの千乃 安倭による4人ピンナップクリスマス2020(横)
作者 | 千乃 安倭 |
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人物 | エルス・ティーネ ディルク・レイス・エッフェンベルグ ファレン・アル・パレスト フィオナ・イル・パレスト |
イラスト種別 | 4人ピンナップクリスマス2020(サイズアップ) |
納品日 | 2020年12月24日 |
イラストSS
折角のシャイネンナハトだというのにサンド・バザールにあるファレンの執務室で書類仕事に勤しむエルスは大きなため息を吐き出した。
「追加の書類――って、おやおやおや? 見慣れない誰かが座ってると思ったら!」
扉を勢いよく開いたフィオナにファレンが「音を立てない」と注意をする。
叱られても気にも留めないフィオナは「驚いたー」とエルスをまじまじと見つめている。
エルスはそんな視線を受けてどんよりとした曇天の下にでもいるかのように項垂れている。
砂漠を燦燦と照らす太陽のような美貌の娘は椅子に腰かけて書類と睨めっこをしているエルスを見つめて首を傾いだ。
「『輝かんばかりのこの夜に』……って日なのに仕事っすか?
まさか、この仕事ばかりの書類人間に捕まって!? ダメっすよ。エルスには用事が――」
「……いの」
「え?」
フィオナが首を傾ぐ。肩を震わせたエルスの様子にファレンは「ああ」と嘆息した。
どうやら彼は事情を知っている様子だ(それもそうだろう。ここに彼女を呼んだのは彼なのだから)――何か、よからぬ地雷でも踏み抜いたか。
フィオナが「もしもーし?」とそろそろと近づけば、涙を浮かべたエルスが勢いよく頭を上げる。
「ないのよ!!」
「な、なにがっすか!?」
「用事が、ないの! だって賭けに負けたんだもの!」
叫んだエルスはがっくりと肩を落とした。せっかくならば愛しの『あの方』と一緒にこの聖夜を過ごしたかった。
――見てください、綺麗ですね。
――そうだな。
そんななんて事のない妄想だってしてきた。あの方に喜んでもらえるような冬服だって考えて……考えて……。
そう、そうなのだ。サンドバザールだって鮮やかに飾られ、まるで光の海の様にもなる。美しい都であるネフェレストを彼とともに歩けたら……そんなことを想像しなかった筈もない。
――つまりはすべては『賭け』の所為なのだ。
所在なさげにしていたエルスを見かけて「良ければ手伝ってくれませんか」と声をかけたというファレンの虚しい優しさ(仕事)を甘受しながらエルスは「今晩は飲みます!」と叫んだのだった。
*SS担当者:夏あかねGM