イラストSS

　シャイネンナハトのダンスパーティーへと姉妹揃って出席した。
　アルテミアは青いドレスに身を包み、周辺貴族への挨拶を行っていた――ふと、聞こえた声に振り返る。
「あ、あの」
　困り顔のエルメリアがたじろいでいる。幼いながらも愛らしく育った妹が数人からダンスに誘われているのだろう。
　誰に決めれば良いのかも分からない。どう答えるべきかとあたふたとしたエルメリアはアルテミアに気付いたのか不安げな表情を浮かべて此方を見ていた。
「――この子は私と踊るの、ごめんなさいね？」
　くすりと小さく笑みを浮かべてアルテミアはエルメリアの手を引いた。するりと人並みから抜け出せば「アルテミア」と小さな声が呼ぶ。
「違うでしょ？」
「お姉様」
　社交界の場では『双子』でも姉と妹と呼び合わなくてはならないから。
　安心して気が抜けたエルメリアに「もう大丈夫よ」と微笑めば、彼女はほっとしたように笑みを浮かべた。
「エルメリア。改めて――私と躍ってくれるかしら？」
「喜んで」

　そっと、手を取って。一緒にダンスを。
　貴女が笑ってくれるだけで幸せだから。
　これからも、ずっとずっと、一緒よ――そう微笑んだ言葉に「勿論」と返す言葉が愛おしい。

　何時までも、続くと思っていたの。
　こんな、当たり前の様な愛おしい日常が。


　　＊SS担当者：夏あかねGM