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その朱に祝福を
その朱に祝福を
イラストSS
日暮れと共に降り始めた雪が、シャイネンナハトの街を白く覆ってゆく。街路樹と共にライトアップされて宝石が降るような、そんな夜。
祝福に満ちた大通りを横目で見ながら、ダスティ・ミケル・ジャスパーは煉瓦の壁に寄りかかった。
今日の装いはダブルボタンのスーツ。しっかりした体躯を際立たせるシルエットに、金ボタンが輝きを添える。胸ポケット挿したポインセチアが赤々と咲き誇っていた。
大人の貫禄あふれる姿。外にいるのは――もちろん、人と待ち合わせをしているからだ。
しかし待ち人の姿は見当たらず、ダスティは煙草に火を点けた。
煙を吸って、吐く。
白い息は夜に溶けていった。
ダスティは通りに目を走らせる。幸せを表情で語る人の中に、待ち人はまだいない。
煙を吸うと小さな火が灯る。
風に揺られて、雪と一緒に灰が舞う。
四分と少々。短くなった煙草を唇から外し、最後の煙を吐き出す。
闇に浮かぶ靄。その向こうに待ち人の姿を認めた。人の流れの中で、キョロキョロとダスティを探している。
彼は体を起こした。よう、と片手を挙げて相手の元へ向かう。
*SS担当者:乃科GM