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イラスト詳細

哀坂 信政の湯葉まるによる2人ピンナップクリスマス2020(横)

作者 湯葉まる
人物 哀坂 信政
クラリーチェ・カヴァッツァ
イラスト種別 2人ピンナップクリスマス2020(→おまけイラスト)(サイズアップ)
納品日 2020年12月24日

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イラストSS

 しんしんと耽る夜を歩いて、信政は重たい扉をそっと開いた。
 蝋燭の火が照らす聖堂内で、十字架の前に跪き祈りを捧げる一人の修道女がいた。
 静謐な空気を壊さぬように慎重に足を進めようとして――緊張から縺れた足は盛大な音を立ててしまった。
「たでーま」
 振り返った修道女――クラリーチェは。思いがけない姿を見て驚いたものの笑顔で信政を出迎えた。
「お帰りなさい」
 気恥ずかしさも相まって、いつも以上に言葉が出ない。何か言わねばと焦る中、そういえば手ぶらも何だからと道中で見つけた花の存在を思い出した。
「やる」
 つっけんどんに差し出されたそれを、細い指先がそっと掬う。
「まあ、有り難うございます」
 顔を上げたクラリーチェの笑顔を見て、信政の思考は時を止めた。
 そうして理解した。目の前の女性をどうしようも無い程愛していることに。
 衝動のまま抱きしめられたらどれ程いいだろう。だが信政の意志に反して体は強ばったまま動かない。
「……無事で、何よりです」
 時よとまれ。今この瞬間も、これからも。あなたが誰よりも美しい。
 彼女の隣が帰りたい場所なのだと痛いほどわかる。
「ただいま、クラリーチェ」
 この言葉をもう一度、この先何度も言えるように。互いに思いを告げぬまま、二人は心の中で願った。


 *SS担当者:水平彼方GM

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