イラストSS

　「……こんなところかな」

　白く、白く。ただ白く――。雪が深く降り積もり、まっさらだった地面と、まっさらだったパーカーには紅い朱い華が咲いていた。
　そして、その中心に立つのは朧気で、美しくて。だからこそ恐ろしい。そんな薄水色と紅が混じり合ったのヒトの姿。
　眼下には倒れ伏した魔獣の姿が重なっている。暫くと野放しにされていたお陰かかなり量が多い、運ぶのには骨が折れそうだ。そういえば討伐依頼はここ暫く埋まりきった様子を見せなかった。
　己の姿を体を捻って確認する。こんなにも紅く染まれるというのに。

「返り血を浴びる日と聞いたんだが、違ったのかもしれないな」

　惨劇の中心に居るというのに、あくまでのんきに華は首を捻る。シャイネンナハト。華の居た世界ではクリスマスと呼ばれていたそれでは赤い服を着る、という話を小耳に挟んだ故の行動であったが、恐らくとんでもないすれ違いが起きているようだ。

　ともあれ、依頼なのだから報告をしなければ。魔獣をズタ袋に放り込んで、一息に持ち上げる。
　雪の中、真っ赤に染まった男が大きな袋を持ち上げている華の姿は確かに、語り継がれるサンタクロースに似ているのかもしれない。


　＊SS担当者：金華鉄仙NM