イラストSS

「ええっと、ツリーの飾りは……もうこれだけかな？」
　飾り付けを進めていたリリーは地面に横たえていたそれを持ち上げる。
　３０ｃｍ程度しかないリリーにとっては全体重をのっけてしまわねば動かすのも難しく感じられるそれは、クリスマスツリーの頂点に輝く一番星。
「コレットさん！　もう一度だけお願い！」
　聞こえるように声を張り上げれば、屈んでいた少女がすすっと両手をこちらへ向ける。
　少女――コレットの身長は３ｍ。そんな彼女の掌を足場代わりに、肩にもたれさせるようにして持ったスターを鮮やかな飾りの灯るツリーの一番上に。
「こけないように気を付けて」
　掌に乗るリリーに声をかけ、ツリーの頂点へ。
　リリーからすれば遥か高みでも、コレットから見ると自分とおおよそ同じ程度の位置。
「よい、しょっ」
　バランスを崩さないように、頂点にあるでっばりへ星の下に空いた穴を誘うと体を起こせば、視界に広がるは白く真ん丸な月。
「つめたいっ！？」
「……雪ね」
「雪だよ！」
　ほろほろと、大空から落ちてくる白い結晶を見上げ、二人は暫しの間、それに意識を奪われていた。


　＊SS担当者：春野紅葉GM