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シャイネンナハトの日(2020.12.24)
シャイネンナハトの日(2020.12.24)
イラストSS
一人……いや、二人だ。
二人は布団の上で仲睦まじく座る。男の膝の上に女は座る。
男はいつもの格好であった。だが、その頭巾の隙間から覗き見える瞳は愛しき人を見る、穏やかな目であった。
女は今日は特別な日という事もあり、格段に可愛い衣装を身に纏っていた。男からすれば何を着ても女は可愛いのだが。それはある種の禁句である。
「今日という日に伝わるおとぎ話がある。一緒に読もう」
「それはとっても素敵なのだわ!」
一冊の本を手に。腕の内に彼女を抱く。
たとえ人形であっても、彼女は血の通う、男にとって最愛の妻である。
だから男は一人ではない。二人なのだ。
時折話を切って、彼女の表情を伺う。
すっかり本の話に夢中で、次をせがむ彼女はとても愛しい。
「早く、早く次のページなのだわ」
「わかっておるよ」
二人の声以外は何も聞こえない寝室に。ぺらりとページを捲る音が響く。
きらきらと顔を輝かせる彼女は、きっと夜空の星にも負けていない。
ちょうどきらきら星というフレーズを口に出し終えた男は、そう確信している。
また、次のシャイネンナハトも。その次も。いや、全ての日において。
二人は一人であり、一人は二人である。
*SS担当者:以下略NM