イラストSS

　その日イスラは、目が覚めて外を見て、ワアッと声を上げた。いつもは緑に溢れた小さな洋館の庭が、今日は一面真っ白だったから！
　いつ庭で遊ぼうかとソワソワと過ごし、外ばかりに視線を送っていたら「ケーキを用意するから遊んでおいで」と言われて、真っ白な庭へと飛び出した。
　同居人がしっかりと着せてくれたニット帽にマフラー、ダウンはとっても暖かで、雪の中を駆けて転がって、大の字になっても寒さなんて気にならない。雪だるまを作りだって、あったかい手袋があるからへっちゃらだ。
　次は何して遊ぼう？　雪うさぎを作る？　それとも……。
（あっ、そうだ！）
　小さな雪玉をふたつ作ったら、作成済みの雪だるまにニット帽とマフラーをあげる。この子は同居人の彼だ。そうして新しい雪玉ふたつを重ねて、両手でぎゅぎゅっとした雪を頭に付けたら――イスラの分身の完成だ。
　我ながら上出来だ。彼にも見せてあげるんだ。
　愉しげに尾をハタハタと動かして屋敷を見れば、窓際に彼の姿。イスラのことを呼んでいる。
「はーい、いまいくー！」
　大きな雪だるまの横に小さなイスラだるまを置いて立ち上がり、軽やかに駆けていく。暖かな室内に入ったら、指をさして伝えるのだ。いすらたちをつくったよ、って。


　＊SS担当者：壱花GM