イラストSS

　白猫サンタは忙しい。そう、寒さも気にならないほどに。
「ハッピーシャイネンッ！」
　道行く人へ、手にした白い袋から小さなプレゼントを差し出すシエル。渡した相手が嬉しそうに笑えばシエルもまたにっこりと笑う。
「次はそこの貴女！　ハッピーシャイネンッ！」
　街を駆け、次々にプレゼントと笑顔を届けていくシエルは自らも楽しそうだ。あっという間に大きな袋は軽く、萎んでいってしまうけれどシエルがそれだけ配り歩いた証拠でもある。
「にゃふ、この辺りは配り終えましたね！　次はあっちです！」
　ぴこんと耳をたてたシエルは方向転換。人々は移動しているのだから全ての人に配り歩けるとは思っていないし、プレゼントの残量も配り終えていない人と比べたら十分でない。それでもまだもらっていない沢山の人へ可能な限り届けるため、白猫サンタは走り回るのだ。
「猫のサンタさんだー」
「サンタさん、プレゼントちょうだい！」
「にゃふふ、勿論ですよ！　ハッピーシャイネン！」
　サンタ姿の彼女に気付いた子供たちが群がってくるも、シエルはにこにこしながらプレゼントを渡す。
　夜空を彩る星々は輝かんばかりであるが――シエルを囲む者たちの笑顔もまた、負けないくらいに輝いていた。


　＊SS担当者：愁GM