イラストSS

　常の通りに身に纏ったのはローズマダーのドレスだ。
　揺らいだエバーグリーンを見つけてからジルーシャは「ご機嫌よう」と囁いた。
「まあ、ウィスタリアな気配がしたと思ったの。ご機嫌よう。良い夜ね。プルシャンブルーにブロンドが瞬いているわ」
　くるりと振り返ったプルーは「よく似合っているわ」とジルーシャを褒めた。
「ふふ。貴女こそ素敵な彩ね？」
「ローズマダーならウィスタリアが見つけてくれるかと思ったの。どうかしら」
　バッチリ、その姿を見つけたと戯けるように唇に乗せて。
　フォーマルなタキシードに身を包んだ彼は、ケツァールの尾羽の耳飾りを揺らして恭しく手を差し伸べる。
「折角の夜よ。この輝かんばかりのよるに、レディ、良ければ一曲――
　なんて。アタシだってこういう時はカッコつけたりするのよ？」
　そう微笑めば、プルーはくすりと笑みを零した。差し伸べられた手を重ねて、視線を合わせる。
　淡い、色彩が揺らいでいる。
　オーケストラの音色に誘われるように「喜んで」と唇が乗せた響きは美しかった。


　　＊SS担当者：夏あかねGM