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善と悪を敷く 天鍵の 女王のばるこによる2人ピンナップクリスマス2020(横)
イラストSS
●眠れる姫の……
眠れる姫の唇を奪った王子の行いは正しかっただろうか?
『彼女』はそれを正しく認識していない。
『彼女』はそれを制止する事は出来なかった。
そもそも『彼女』はそれを認めてはいなかったかも知れない。
(――お綺麗だわ)
善と悪を敷く 天鍵の 女王(p3p000665)――レジーナがせがんで願えば猫のように意地悪なリーゼロッテ・アーベントロート(p3n000039)とて少しは甘やかしてくれる。聖夜にデートに付き合って欲しいと乞うて(乞わないと苛められるのだが)戯れに付き合ってくれない位の関係とはレジーナ自身思っては居ない。
(でも、お嬢様は何を考えているのかちっとも分からないから)
『今、目の前で眠っているお姫様と同じように』。
実際の所、正しいかどうかなんて分からなくて。
実際の所、彼女が認めてくれているかなんて分からなくて。
レジーナは成り行きで仰せつかる事になった『劇の代役』に自分を重ねて小さな胸をぎゅっと締め付けられた。
(もし)
もし、お芝居以上にキスをしたなら――彼女は何と言うだろうか?
それは恐れであり、興味であった。
眠れる姫の役を意外と律儀に果たすリーゼロッテは絵画めいて美しい。
誰もが触れたいけれど、誰も触れられない奇跡の青薔薇。
甘やかな香りは爛れ切った毒なのに、惹き付けられずにはいられない――
(馬鹿ね)
レジーナは不埒な考えを追いやり、リーゼロッテの唇に顔を寄せた。
それは予定通りの『キスの振り』。
「――――」
そして、次の瞬間。彼女は予定外に真っ赤になる。
耳元で幽かに響いた声は。
――あら、するかと思いましたのに?
(本気かどうか、でもそういう人で、ああ――もう!)