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シャイネンナハトはおおいそがし
シャイネンナハトはおおいそがし
イラストSS
「ニルは、シャイネンナハトははじめてです」
街の喧騒、ほうぼうから上がる歓声、食事の匂い、楽しむ人達の笑顔。
ニルには「おなかがすく」ことも「おいしい」もわかりません。
だからニルは、パーティー会場に招待されたと聞いて驚いてしまいました。
「おいしい」ものが並んでいても、多分わからないだろうに。「おなかがすいた」わけではないのに、誘ってもらえるなんて、ニルはもしかしたら「しあわせ」なのかもしれません。
パーティーで席について、注がれたジュースの彩りにニルはびっくりしてしまいました。
「キャサリン・ブロッサム」という名前なのだと、教えてもらいました。
乾杯の合図にあわせてグラスを掲げ、グラス同士が軽く打ち合う音と一緒になって、皆が笑っています。
ニルを誘ってくれた人は、ニルのために席を用意してくれたのです。
ジュースを口にして、食事を前に皆と笑顔になれる時間……これが「おいしい」ということなのでしょうか。
今日も、今度も、またその次も、こうしてニルは食事の席で笑って、騒いで、語らうことができるでしょうか。
そうしたい、と思った途端……なんだか無性に、「おなかがすいた」気がしました。
*SS担当者:ふみのGM