イラストSS

（ど、どうしてこんなことに……！）
　星が瞬く聖夜、マリア・マリア・マリアはプルプルと顔を赤くして震えていた。
「完璧だ……！　後はこれを持って道行く人に声をかけるんだ！　行ける！　君のその羞恥に満ちたサンタ姿ならいける！」
　一体どこに行けるのか。
　そもそもマリアは人手が足りなくて困っていた目の前の青年を手伝っているだけで、怪しい呼び込みをしているわけではない。はず。
「あ、あの、私、ケーキを売るのですよね？」
「勿論だよ！　君のような可憐なサンタにお願いされたら男は断れないに決まっている！」
　ではなぜこんなにも際どいサンタの服なのか……。
　うん。きっと目の前の青年の趣味なんだろう。
「もう君にしか頼めないんだ……」
　じっとマリアを見つめてくる青年に、マリアの胸が高鳴る。
　聖なる夜に出会い、見つめ合う青年とマリア。
　そこにどんな思いが生まれるのか……。
「分かりました。得意、とは言えませんが、売り子も経験はあるので頑張ります。その代わり……」
「その代わり？」
　赤くなって青年を見つめるマリアに、青年も真面目な表情になってマリアを見つめ返す。
　初めてのシャイネンナハト。どんな思い出が出来るのだろうか。


　＊SS担当者：ゆーきNM