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雪風の魔法
雪風の魔法
イラストSS
天高く広がる空の色、青く晴れ渡り。頬を撫でていく風の冷たさに身震いをする。
義兄長胤の意思と共に天香を継いだ遮那は、この所執務に追われていた。
暖かい室内に閉じこもってばかりだったから吹いてくる風は身に染みるのだ。
琥珀の瞳を上げると、行きつけの茶屋の前で小さな幼子が辺りを見回しているのが見える。
栗毛色のふわふわの髪が風に揺れ、夏の空の瞳が不安げに誰かを探している様だった。
遮那はそんな幼子に声を掛けた。
「どうしたのだ? 迷子か?」
「あっ、あのね。いすら、おかいものしててね。それでね、はくがね、いなくなったの!」
拙い言葉と青い瞳が訴えかけてくるのは。とりあえず、迷子だということだ。
「成程な。ならば、此処で待って居よう。下手に動き回るより良いからな。
そうだ。丁度、私もおやつを食べに来たのだ。其方はいすらだったか。いすらもどうだ?」
「いいの? いすらたべていいの? はくおこらない?」
「大丈夫。ほら、此処のみたらし団子は絶品だぞ」
イスラに団子を差し出してから、遮那は雪の結晶を風で操ってみせる。
「わぁ! すごい! まほう?」
「ふふふ。不思議だろう?」
幼子の清らかな瞳が氷紋を追いかけ煌めいた。
※担当GM『もみじ』