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ママゴト、ヒメゴト、ネガイゴト
ママゴト、ヒメゴト、ネガイゴト
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障子の隙間から入り込んだ黄金の月明かりが部屋の中に差し込んでいる。
二つ並んだ布団の上、真っ暗な部屋の中で向かい合うのは遮那と鹿ノ子だ。
横から差し込む月光に互いの顔が仄かに見える。
少しだけこそばゆいのは、秘密の戯れのようで楽しいからだろうか。
深夜に二人だけで起きている事にわくわくしてしまうかだろうか。
「鹿ノ子、その布はどこから持って来たのだ?」
「これは借りてきたッス」
悪戯っぽく微笑んでみせる鹿ノ子の頭には白い布が被せられていた。
それはまるで、花嫁のウェディングヴェールのようで。
月明かりに照らされた少女は一層美しく見えた。
「何だか花嫁みたいだな」
「そうッスかね。じゃあ遮那さんは花婿さんッスね」
二人だけの秘密。おままごとの結婚式ごっこ。
本当に結婚式を挙げる時は、鹿ノ子は今よりももっと美しくなっているのだろう。
幼さの残る少女が、こうしてあどけなく笑顔を向けてくれるのも今だけなのかもしれない。
仮初めの花嫁。けれど、今この時だけは『遮那だけの花嫁』だ。
心の奥で炎が揺れる。純粋な嬉しさが胸に広がる。
幸せに満たされる感覚に少しだけ涙が滲んだ。
この時間が、もう少しだけ続けば良いなと遮那は微笑んだ。
※担当GM『もみじ』