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「輝かんばかりのこの夜に 良い夢を。」
「輝かんばかりのこの夜に 良い夢を。」
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あんまりシャイネンナハトに何かをもらった想い出が無いんですよ、と。
弾けた薪の音と共に聞こえた黎 冰星(p3p008546)の言葉に、チェルカ・トーレ(p3p008654)は片眉をあげた。
「冬は生きるのに精いっぱいで、気がついたら終わってましたし!」
雪色の青年は元気よく生存の難しさを説く。
「今年はサンタさんが来てくれるかもしれないよ」
「本当ですか!?」
「良い子にしていたらね」
「がんばらないと!」
預言者のような不思議な笑みを湛えたチェルカは再び頁を捲りだす。
冰星の肩に乗ったまん丸なリスは不思議そうに天井を見上げていた。
深夜。音も無く部屋の扉が開き、淡い月灯りを導べに赤いコートが部屋を横切る。
寝台ですうすうと安らかな寝息をたてる一人と一匹は侵入者の優しい眼差しに気づかない。
明るくて元気。
普段は太陽のような冰星が雪のような毛並みをパジャマと共に白雲の寝具に横たえ、安らかな眠りに耽る姿は平穏そのものだ。
「……メリークリスマス」
ささやかな奇跡を届けにやってきた、狐のサンタクロースは穏やかに笑う。
贈り物に添えられた、眠る一枚の蝶。
今はまだ深い夜。
朝日が昇り眠りから覚めれば、畳まれたメッセージは喜びと共に羽ばたくだろう。
*SS担当者:駒米NM