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酒場で一人クリスマス
酒場で一人クリスマス
イラストSS
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「やぁ、マスター。今年も賑わってるね」
その扉を開けると、酒を片手に聖夜を飲み明かす男たちの声がわっと押し寄せる。
クリスマス色に彩られた小奇麗な酒場のカウンター席に腰掛け、マスターが注いだウイスキーを一口喉の奥へと流し込む。
上質な香りと酒の匂いが口内を満たすと創は満足げにため息をつき、食事と酒に湧く酒場の様子を肴に楽しむのであった。
静かな笑みをたたえたその初老のマスターは創に頷き、丸々とした大きなローストチキンをオーブンから取り出す。思わず涎が出そうになる創の食欲を更に煽る様に、マスターは上質な肉にナイフを入れ、肉が灼けた香ばしい香りを酒場に広げていく。
「それはずるいじゃないかマスター、もっとウイスキーが欲しくなるよ」
思わず手が出てしまい、創は肉をそっと掌に浮かばせると口の中に放り込む、蛋白質な肉汁が舌を覆い、炭の香ばしい香りが追いかける。
それを肴にウイスキーを口に注げば、あら不思議、氷が浮かんだグラスはすぐにからっぽに。
その様子を眺めたマスターは白い口髭がチャームな口元を緩めると、創さんなら幾らでもと言わんばかりにおかわりを注ぐのである。
満腹感とほろ酔いの中、創は静かな酒場のひと時を愉しく過ごすのであった。
*SS担当者:塩魔法使いGM