イラストSS

●シャッター音は幸福の鐘を鳴らすやうに
　輝ける聖なる夜の下、人に幸せを運ぶ御使い……のようでもあり、見る者によっては奉仕を生業とする女中を思わせる姿の少女達が身を寄せ合っていた。
　ともすれば寒空にはややきつい、さらけ出した肌の面積の多さも気にならないほどに、二人の少女達はその身を触れ合わせていた。
「……うむ、そこ。そう、もっと寄ってくれるかのう？」
　内一人、黒髪に尖った耳を備えた少女ニルは身を寄せる相方となる少女ハッピーへと指示を出した。
　その片手に在る一つの端末は、聖なる夜の一時を共に切り取らんと
　されどその全てを留めるには端末が切り取れる箇所は小さく、そして切り取る姿に一つの芸術性（人それを映えともいう）を求めるならば、その構図にもまた気を遣う必要があり――寄せ合う身体にハッピーは僅かに頬を染めながら。
「こうだな！！！！」
「うむ。では……」
　端末の示すその構図、映る少女達の黒と金、紫と赤と緑の煌めきは聖也の一幕に良し。
『ハイ、チーズ！！！！』
　――パシャリとカメラのシャッター音が響く。
　宛ら幸せなパーティの始りを告げるクラッカーの音色の如く。
　液晶の中に留められた時間の中、身を寄せ合う二人の可愛らしいサンタクロースをツリーの星々が鮮やかに映し出していた。


　＊SS担当者：表川プワゾンNM