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ミディーセラ・ドナム・ゾーンブルクのサカモトミツキによるシングルピンナップクリスマス2020(横)
ミディーセラ・ドナム・ゾーンブルクのサカモトミツキによるシングルピンナップクリスマス2020(横)
イラストSS
温かい部屋。綺麗に装飾された室内。美味しいごちそう。素敵なプレゼント。
輝かんばかりのこの夜だから、せっかくなら贅沢をしたい。けれど。
「さむい」
玄関の戸を開けて、閉じた。
なんなんだ冬。私が何をしたって言うんだ冬。ちょっと本気出し過ぎじゃないか冬。
悪態をつきたい気持ちをぐっと押さえて再び扉の方を見やる。
固く閉ざされた扉。その向こうで時折吹く強風が唸り声のように聞こえた。
そう。この風と言うのが中々に厄介なのだ。
風が吹けば体感温度は下がる。体感温度が下がるという事は必然的に寒さをより感じるようになる。
せめて風さえ止んでくれればいいのに。ため息を一つ落とすが、そうしたところで何も変わらない。
温かい部屋も燃やすべき薪がなくなってしまえば寒くなっていくし、待てども暮らせどもごちそうが空から降ってくるはずがない。
「いくしか、ない……ですわ」
大切な人との特別な日の為には行くしかない。やるしかない。
空を急いで飛んでいくのは、それはそれで寒いのだが……物事は常に犠牲があって成り立っている。 そう、これは必要犠牲だ。
彼女はごくりと息をのみ、意を決して扉を開けた。
*SS担当者:樹志岐NM