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ポムグラニットのキロンによる2人ピンナップクリスマス2020(横)
ポムグラニットのキロンによる2人ピンナップクリスマス2020(横)
イラストSS
わあ、と声とも吐息とも取れぬ音が昇りゆく。
「きょうは とっても きれいな おほしさま!」
夜色から遠い瞳をきらきらと揺らして、ポムグラニットは澄んだ空を仰ぎ見ていた。心なしか、彼女の纏う荊の蔓たちも楽しげだ。
凍てつく夜気に負けぬ感激を宿して、ベークもつられて星空を眺める。
「こうしてゆっくり星を見る機会は、滅多にありませんからねぇ」
コートの衿をかき集めるようにして、ベークは寒さを凌ぎつつ呟いた。
絢爛と広がる星の海は、眼下に一望できる造られた夜景よりもずっと遠く、強く感じる。
得も言われぬ美しさに友と二人で見入っていると、星海の中へ混ざれるようにさえ思う。
だからポムグラニットとベークは、それぞれ星へ片腕を掲げてみた。
薔薇が星月夜を恋しがるように見たなら、星の瞬きは地上に咲く薔薇に焦がれる。
海に揺蕩う心が星月夜へ手を伸ばせば、無数の星は波打つ大海へ向け流れていく。
「こういうの すてきな よるって よんで いいんじゃない?」
「……ですね。寒さに耐えるだけの価値はありました」
そうして顔を突き合わせて笑う二人に、星空もきらきらと唄ってみせた。
*SS担当者:棟方ろかGM