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向かう先は
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イラストSS
大きく輝く満月が浮かんでいる。もうすぐもうすぐ見えてくる。赤い屋根のお家。ちょうどタントと同じリボンの色の家だね。ここはタントの家。ジェックも一緒に暮してる。家には誰もいないので明かりがついていない。すっかり冷え切った家なのに、ジェックはほっと安心するような気持ちになった。
「もっと寒くなると軒先につららが出来ますわ。落ちて危ないので、気を付けてくださいまし?」
タントの忠告にジェックは少し考えて。
「先につららを落とせばいいんじゃないかな?」
「手が届きませんわ」
「じゃあアタシが撃ち落とそう」
「ふふ、次につららが出来た時はそうさせて貰いますわ」
なんてことのない会話だってタントとジェックには大事な時間だ。ジェックはポケットから鍵を取り出す。慣れた手付きで玄関を開ける。
ジェックが扉を開けてエスコート。「どうぞお先に」とうながしている。タントがとことこと家の中に入ると、それにジェックも続く。──帰って来たんだ。ぼくらの家に。
*SS担当者:7号NM