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ふたり出逢って
ふたり出逢って
イラストSS
まん丸の満月が空に浮かんで、真っ白な雪がお山をおおっていた。雪で囲まれた道を抜けると、二人はばったり出会った。
「いい夜ですわね。ジェック様」
「うん。いい夜だね、タント」
タントとジェック。二人はとっても仲がいい。二人は町へ向かって歩く。さくりさくり。後ろには二人の足跡の平行線が伸びていた。さくりさくり。タントが歩くと真っ赤なリボンがぴこぴこ揺れる。それを見たジェックがくすりと笑う。
「どうかしまして?」
「ううん。何でもないよ」
ジェックが歩くと雪みたいなぼさぼさの髪が月に照らされてきらきらと光る。それを見たタントはにこにこ。
「どうかした?」
「いいえ。何でもありませんわ」
ひときわ明るい、町へとたどり着いた。目の前に広がる町は宝石のようにぴかぴかだ。今宵はシャイネンナハト。町の誰も彼もが祝福していた。
「実はさっきまで寂しかったんだ。それが歩いているうちにどこかへ行ってしまったみたいだ」
ジェックが言う。タントが微笑む。
「わたくしも同じですわ。さっきまでの寂しさはどこへやら」
タントの笑顔を見ると、ジェックも釣られて笑みがこぼれた。
*SS担当者:7号NM