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イラスト詳細

御天道・タントの楠木なっくによるシングルピンナップクリスマス2020(横)

作者 楠木なっく
人物 御天道・タント
イラスト種別 シングルピンナップクリスマス2020(サイズアップ)
納品日 2020年12月24日

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イラストSS

 澄んだ日の夜でした。娘は一人、降り積もった雪の中を歩いていきます。山から吹く風は冷たく、娘の柔らかな黄金の髪や白いスカート、赤いリボンへと無慈悲に吹きつけます。煌々と輝く月の光は清らかで優しいものの、一面に広がる凍り付いた湖に姿を映せば、まるで氷の中に閉じ込められているかの如く。それは息をのむほど美しい景色ではありましたが、寒々としたものでした。
 娘は一人でした。大好きな恋人は、今は側にいません。太陽の如き輝きも広がる自然の中では一人、小さなものです。それでも胸を張って、娘は進みます。誰もまだ歩いていない雪原に、確かな足跡を一歩一歩、残して。
 きらめく太陽の如く、眩しく、凛々しく、誇らしく。
 それでも恋人のぬくもりが側に無いことが、娘にとっては残念でした。もしも彼女がいればこの冷たい雪原は、もっと素敵なものになったのだろうに、と。彼女は今、どこで何をしているのだろうか。寒くはないだろうか。やはり一人なのだろうか――。
 太陽の娘は、家路を急ぎます。冷たい景色と寂しさなど何ともないと言いたげに、軽やかにきらめいて。
 そして、輝ける夜は更けていくのでした。


 *SS担当者:ろばたにスエノNM

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