イラストSS

　セーラーカラーに身を包み、ジェック・アーロン(p3p004755)はすやすや眠る。
　傍らには、シャイネン・ナハトのツリーの飾りがあった。
　そして、その白く細い手は、無意識のうちにガスマスクへと伸びている。その身から外れてなお、手放せないガスマスク。
　たとえ試練に満ちた日々であったとしても、ジェックにとっては思い出だった。
　この世界のきれいな空気も。マスク越しでなくて、よく通る声も。致死量の有害物質を含まないすうすうと通る空気も。形のある食事も、当たり前になるのはもう少し先のようだ。
　まだ、慣れない。
　時折は、この夜が怖くもあった。
　スコープの奥から、ジェックを責める声がする気がした。
　時折は、この夜がいとおしくもあった。
　暗闇は、ジェックの味方だった。
　ベッドはとても広くて柔らかく、寝返りだって打てるほどだ。
　けれど、ジェックは無駄な身じろぎはしない。最小限の寝息。……今でも物音一つあれば飛び起きるだろうか。
　けれども今日はシャイネン・ナハト。争いの気配は遠く、祝福ばかりが満ちている。あたりの気配は、静謐な安らぎに満ちていた。
　少女は、寝具に身を預けて安らかな寝顔を見せている。平和な日々に、祝福を。


　＊SS担当者：布川GM