イラストSS

　再現性東京。
　無辜なる混沌（ここ）であって東京（ここ）ではない場所……旅人達の聖域は、純種の者にとって物珍しいものであった。
　そんな都会の喧騒から外れたさき、すっかり日も暮れて人影もいない公園の一角に彼女たちはいた。 　彼女たちは友人だ。なりたてほやほやの親友。
　『これまで通り』を続けてきていたのなら可もなく不可もない人生を歩めていたはずの、『これまで通り』から逃げ出したからこそできた、大切な宝物。
　だから今日。輝かんばかりのこの夜だからこそ贈りたい物が、伝えたい事があった。
　今年一年、うんと頑張った貴方に『一番星』を。それから、それから……。
「わっちの中でイルミナが一番星です！」
　今更伝えるのは少し恥ずかしいけれど。それを聞いた彼女は瞬きを何回かした後にくしゃりと笑った。
「イルミナも、初めての友達がひばりでよかったッス」
　これまで通りを抜け出した先の新たな『当たり前』は何物にも代えがたい幸せを運んできたのだった。
　再現性東京。ここで彼女たちは親友だ。
　いや、ここから出たとしても彼女たちは親友であり続けるだろう。
　なぜなら親しい友とは、それになるには――場所も、出会ってからの期間も関係ないのだから


　＊SS担当者：樹志岐NM