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志屍 瑠璃の薬師りぃとによるシングルピンナップクリスマス2020(横)
志屍 瑠璃の薬師りぃとによるシングルピンナップクリスマス2020(横)
イラストSS
賑やかだった喧騒もすでに聞こえない距離まで来てしまった。
酒場で味わった数々の食事、そして楽しげだった雰囲気の余韻がまだ志屍の中に残る。しかし隠れ家へと向かう道はしんしんと降り始めた雪が積もり始め、足元からは冷気が伝わってくる。
酒場で過ごした時間は名残惜しいが、早く帰ろう。そう決めた志屍は徐々に足取りを早めていく。
冷たい空気を切りながら進む志屍。だが志屍の後ろには、まるで雪が避けているかのようにぽっかりと空いた空間がいくつも出来いた。
よくよく見ればその空間はまるで童子のよう。
童子の影のような存在たちは志屍の後方ではしゃぎまわり、志屍の後をぞろぞろとついて歩く。
志屍が歩く度に翻る外套を一人の童子の影が掴もうとするが、その見えざる手では掴むことはできない。
志屍たちが通り終えた道には、女性の靴跡と、無数の童子の足跡が残されている。
人通りのない夜の道へとついた足跡たちは、次第に降り積もる雪によって消えていくのであった。
*SS担当者:天野奈々GM