イラストSS

　アジュール・ブルーの空にふわりと浮かぶ雲一つ。
　ゆったりと飛んで行く鳥が窓の向こうに見えた。

「アルエットさん？　どうしました？」
「ううん。何でも無いの。ちょっと昔の事を思い出してたの」
　寂しげにエメラルドの瞳を伏せるアルエットに四音は微笑む。
「何か悲しい事でもあったんですか？　良かったら聞きますよ？」
　詮索したいとかそういう事ではない。
　アルエットが話したいと思うのならば、いつでも預けて構わないということだ。
「……大丈夫よ。ありがとう四音さん」
「そうですか。まあ、アルエットさんには涙は似合わないですから。出来れば笑って居て貰いたいですね」
　笑っていてくれればくれるだけ。
　本当の悲しみや絶望が色鮮やかになるのだから。
　だから、平素は心穏やかに過ごして欲しい。――なんて、考えてみたり。
「四音さん？」
「いえ。アルエットさんの笑顔は素敵だなって。
　ああ、そういえばケーキがありましたね。どうです？　あーん」
「あ、えっと。うん。……あーん」
　苺のショートケーキをひとすくい。四音はアルエットの口に運ぶ。
「うん。とっても美味しいの」
　ひな鳥の様に喜ぶアルエットが愛おしくて。
　四音はカーマインの瞳を細めて微笑んだ――

※担当GM『もみじ』