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寝ぼけ眼
寝ぼけ眼
イラストSS
それは、満天の星空映す海に浮かぶ夢。
娘はゆらりゆらりと眠り続ける。寝台は大きな夜の三日月。温かな光が、彼女の純白の髪の毛を、白い肌を淡く照らす。
濃紺の空に浮かぶ星々は、静かな光を少女に投げかける。まるで金と銀の粉を空に振りまいたかのような輝ける夜。
娘の表情は穏やかで、訪れる夢達もまた、穏やかで幸福なものなのだろう。
水に浸かった少女の細い脚が、無意識のうちに水面のを揺らす。ゆらゆらと金色の弧は姿を変え、やがて、ゆっくりと元の姿に戻っていく。
娘はまだ夢の中。しかし、空はやがて明け往く。夜明け前の最も美しい濃紺の空は薄青へと変わり、暁光の鮮やかな紅色が天に現れつつある。
彼女の愛する人の気配、太陽の気配。
顔を覆うガスマスクは、もう、ない。冷たい清浄な空気が彼女の肺を満たし、ぼさぼさの、しかし豊かな白い髪の毛をふわりと揺らす。かつての世界とは違う清浄な空気は、目覚めてからも彼女の側にある。そして彼女を照らす太陽も、澄んだ大気の中でいつもよりも晴れやかに輝くのだ。
輝く夜は過ぎても、輝く日々はこれからも。
*SS担当者:ろばたにスエノNM