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【クリスマス2020】遠き灯、みつめる人形
【クリスマス2020】遠き灯、みつめる人形
イラストSS
『自分は人間にとって異質であり異物であり、なるべくなら側によるべきでない存在である』
だなんて。誰に言われたわけでもないのに、思い詰めているなと、想う。
二はヒトが思うよりもずっとずぅっと、人間のことを見ている。
先日の戦いで得た知識はきっと、二の中でわだかまりとして残っていることだろう。
屹度、『自分は何やら人間を害する異形と関わりがある』とかだ。
……俺にゃあ気は遣えても、そのこころに寄り添うことは、ひどく難しいように思えて、だから。
そっとしておこうだなんて考えたのが間違っていた。
人里よりとおく、とおく離れた森の奥。
一番高いんじゃねえか、って木の上にひょいひょい登って。
ぼんやりと。相変わらずの仏頂面って云っちゃあなんだが、少しだけ満足したみたいに星と、人里のあかりを眺めてたんだ。
けど、そんなのあんまりじゃねえか。だって、こんなにヒトが楽しそうに――いや、楽しんでいる笑顔を間近で見ることができる日は、早々ねえんだから。
よぉし、俺は決めたぞ。
肩に背負った籠に何もないことを確認して腕まくりをするふり。今日は寒いから、心算だけで。
「――おい、二!」
*SS担当者:染NM