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リュカのヤツ覚えてろよ
リュカのヤツ覚えてろよ
イラストSS
『聖夜』──
シャイネンナハトの夜は、特別な誰かと過ごす大切な日だ。
朧月夜の中、ふわり舞い降りる白雪たちは、その存在を証明するかのように、月の光にキラキラと煌めく。
その煌めきに導かれるように、ふたつの影が姿を現した。
「リュカ、…リュカ! 見ろよ。真っ白だ!」
白雪に染まる髪に淡い紅の色を灯した青年リュカの手を、オランが引いて雪景色の中を駆け抜ける。
寒空の冷たい色とは対象的なオランの黄水晶のような瞳には、無邪気に喜ぶ気持ちが現れている。
彼は熱中するとすぐこれだ。
雪の上でも元気なわんこを引いてるようで、リュカも諦めたような表情を浮かべている。
「オランさん、痛いって。」
「あ、わりい。つい、よ。」
リュカの背中を見て、機嫌を損ねてしまったかとおろおろするオランに、リュカが高速で何かを投げつけた。
顔に正面からぶつかった、鈍い衝撃と、冷たい感触。
「おわっ!つめてえ?!」
何が起こったのかと素っ頓狂に声を上げた。額に付いた雪が、何が起こったのかを物語る。
そんな彼の反応を見て、リュカは満面の笑顔だ。
「あははっ。オランさん当たり~!」
「リュカ…覚えてろよ?」
静かな聖夜に、賑やかなふたりの声が響き渡った。
*SS担当者:蒼彩野羊NM