イラスト詳細
『I am worthy of you』
『I am worthy of you』
作者 | 朝喜紅緒 |
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人物 | リア・クォーツ ガブリエル・ロウ・バルツァーレク |
イラスト種別 | 2人ピンナップクリスマス2020(→おまけイラスト)(サイズアップ) |
登録されているアルバム | |
納品日 | 2020年12月24日 |
8
イラストSS
それは刹那とも言うべき出来事だった。
クォーツ修道院。幻想の一角に存在するその場所へ訪れていたのは遊楽伯爵その人だ。
が。日は暮れ始めており、馬車の前にいる彼は帰らんとしている直前か――
「リアさん。お顔を拝見出来て光栄でした……非常に名残惜しいですが、これにて」
「そんな、勿体ないお言葉です伯爵――
今日はお忙しいでしょうに、ありがとうございました……!」
それは伯爵が主催するパーティが始まる『前』の時刻であった。
主催がおらぬでは話にならない。故に、戻らねばならぬのだと。
長居は出来ない。そも、見る者が見ればわざわざ修道院に足を運んだという事実から『要らぬ噂』を流されぬとも限らぬから――
……いや『要らぬ』かどうかはさて。ともあれだ、が。
「……行ってらっしゃいませ、伯爵」
リアも無理に引き留めはせぬ。
分かっているから。彼が貴重な時間の中で足運んでくれた事を。
だから――万の言葉よりも、一輪の花にて伝えよう。
「これは……」
「お帰りの際も、御無事をお祈りしております」
帰る彼を見送る。その場にて胸元に刺す花の名は――『ガブリエル』
込められし言葉は『気品』『深い尊敬』
「……そして」
『私は貴方に相応しい』
いつか。花を介した言葉ではなく、確かなる声をもって伝えたい。
けれど今はこれだけでどうかと……心の声を紡ぎながら。
彼を見送ろう。その馬車の影が、見えなくなるまで。
輝かんばかりのこの夜に――願いを込めて。