イラスト詳細
溝隠 瑠璃の奏多によるおまけイラスト
溝隠 瑠璃の奏多によるおまけイラスト
イラストSS
暗い、昏い。部屋に在る、居る。一人と、独り。
否。正確には暗い中にも仄かな明かりが一つあって、室内をぼんやりと照らしている。
明かりがある事で自分が確かに存在している事が理解(わか)るし、そこに居るのが自分の他にもう一人いる事もわかった。
もう一人は心底驚いたような表情をしていた。何とも言えない表情……身も蓋もない言い方をしてしまえば、それはきっと『まぬけ』と言われるのだろう。
あぁ、楽しい。この人物はこんな表情をしてくれるのか。
ならばもっと。たとえばこんな風に突然距離を詰めてみたらどんな表情になる?
動いた拍子に、胸の谷間がその視線の先に偶然あったなら? 熱い吐息と火照った頬。潤んだ瞳で見つめてみたら?
決して触れない。触れてはいけない。そんなことをしなくても大丈夫だと言う確固たる自信があった。
その証拠に目の前の人物が息を飲む。その音が、室内にやけに大きく響いた。
さぁ、あとすこし。そのごつごつした指が柔肌に触れたら、最後。
――あぁ、ほら。堕ちた。
輝かんばかりのこの夜に。甘美なユメを見るのは私たちだけじゃない。
*SS担当者:樹志岐NM