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久住・舞花のやむむによるおまけイラスト
久住・舞花のやむむによるおまけイラスト
イラストSS
●天然物
混沌の世界にも『聖夜(シャイネン・ナハト)』はある。
(違う事ばかりと思っていたけれど――案外にそうでもないのかも知れない)
現代日本の些か商業主義に塗れた聖夜(クリスマス)は久住・舞花(p3p005056)にとって縁深いものではなかったが、胡乱なイメージを形にすれば。成る程、華やいだ街の空気は此方も大して変わらないようにも思えていた。
(それより何より)
……舞花は、そんな胡乱で浮ついた街の気配に、聖夜なる魔法に幾分か『当てられた』自分自身に驚いていた。要するにどんな時間も相手次第か。『今年も』数奇な偶然で顔を合わせた瀟洒な男は「一献付き合え」と彼女を誘った。そこに男女の機微は薄かろうが、互いに満更でもないタイプなのもまた確かであった。
「……では、その高弟は」
「うむ。わしに遅れて混沌に参ったようじゃな。
苦労性の男で、何時もしかめ面をしておる。からかってやれば中々愉快ぞ?」
酒と美人に日頃より饒舌な死牡丹・梅泉(p3n000087)は鋭利過ぎるその美貌から険を解いている。それは偏に隣が舞花だからなのだろうが、
「……たてはさんといい、面白い運命もあったものですね」
舞花の冗句の『もと』が見たならばさぞ煩い光景になるだろうか。
「外には雪、主が月なら――あの騒がしさは叢雲じゃ」
一献を一気に飲み干した梅泉は舞花をじっと見つめて幽かに笑う。
「今は風流――主の方を愉しませよ」
(……これだもの)
舞花の苦笑の意味にきっとこの男は気付くまい――