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エルサリス家冬の陣2019
イラストSS
「あッ――!! どうして皿ごと取り上げるんだぬ!! それはうちのだお――!!」
「ちが――う!! 一人で食べつくそうとするな――!!」
暖かな室内。食卓に多くの煌びやかたる食材を並べ、囲むはニルと家族である。
その中央。巨大なターキーがあったのだがニルがフォークを突き立てようとした瞬間に――兄が皿ごと天へと。されば空を切るフォークであり、食べる気満々であったニルは当然文句の雨あられ。
しかしこれは家族で食べるのだ。まずは切り分けてからと兄……メイド服で、どこからどう見ても女の子にしか見えないが――しかし確かに『兄』である彼はニルと口喧嘩勃発。
食卓越しにあれやこれやと騒がしい限りである……さすれば。
「……んっ。こっちの方も美味しい。うん。うん」
「あらあら。仲が良いのは結構だけれど……折角のシャイネンナハトの日なのよ?
喧嘩せず仲良く、ね? わ・か・る・で・し・ょ?」
姉は天高く掲げられているターキー以外の食材を一口二口マイペースに喉の奥へと。
同時。優しい口調で――しかし確かな、重厚ともいえる母による『圧』の言がニル達へと降り注ぐ。ああこれは怒る前兆である。マジ切れするとやべぃかーちゃんの雷は一度落ちれば……あああ駄目だ! 思い出すだけでもトラウマだお!!
「か、かーちゃん……は、ははは。いや、その! なんでも、なんでもないだぬ!!
ほーらにーちゃんとうちは仲良しこよし――!! あははだお――!!」
魂が青ざめながらニルと兄は仲直りを。
額に汗が滲み出てくる程に、かーちゃんの怒りは怖いのである。
――まぁそうでなくても確かに今日は祝うべきシャイネンナハトの日。慣れっこの喧嘩と言えど、多少はボリュームを落とすべきかと思考もするものだ……
外は雪が降り注いでいる。
穏やかに、耽る夜を祝うかのように。
ああ――どうか一家に祝福を。
温かな食事と、喧騒あれど仲良き一家に……シャイネンナハトの輝きを。