イラストSS

　シャイネンナハトは今宵限り。一年に一度限りの聖夜。
　――だからこそ今宵限定のグループが結成された。
「皆――！！　今日は楽しんでいってね――！！」
　響く声はリインはものだ。ステージの上にある輝かしき人影は三つ。
　リイン、リンネ、レジーナ……
　シャイネンナハト限定のバンドチームである。リインがギターとボーカルを担当し、リンネがドラムを担当。そしてレジーナがキーボードの鍵盤を弾いてリズムを上げていく。
　幾つもの音が激しく。それでもするりと自然に皆の鼓膜を揺らしている――
　聞く客達。合わせて叩かれる手が更なるリズムを刻んで。
　歓声もより大きく、より眩しさを抱くものだ。
　照明が輝き発光がまた幾度も。
　手を振れば呼応するかのように黄色い声が挙がる――これがステージの上にいる三名のサンタからのプレゼント。たった一夜の、しかし確かに今日と言う日に存在するボイス・プレゼント。
　黒きサンタのレジーナが微笑みを携えリイン達を見る。
　不思議と心躍る感覚が指先をも常に躍らせるものだ。
　連動してリインの声もまたボリュームを得て。
「さぁまだまだこれからだよね――シャイネンナハトの夜は！」
　赤き衣を纏うリンネへとバトンタッチ。
　リインがドラムを弾き、リンネが言葉を紡ぐ番だ――リインとはまた違う声色が聖夜に満ちて観客達の心を掴む。
　誰もが今日という日を眩しく思うだろう。
　誰もが今日という日をずっと覚えているだろう。
　忘れようものか。これ程煌びやかなるステージを、どうして忘却する事が出来ようか。

　――ああどうか皆楽しんで。

　声には出さねど楽し気なレジーナもまたそう思い。
　演奏は続く。素晴らしき声が流れる様は続いていく。
　シャイネンナハトの夜を超えるまで。
　今日という日を惜しむ程に――どこまでも。