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【旅の思い出】空中神殿で、輝かんばかりのこの夜に
【旅の思い出】空中神殿で、輝かんばかりのこの夜に
イラストSS
「輝かんばかりの、この夜に――」
空に浮かぶこの神殿にも、雪は祝福のように降り積もる。そんな中で、グランドピアノの音色を伴って美しい歌声が聞こえてくる。自由な旅人の自由な弾き語りが、冷え込む夜の空気を通じ、寒空の上で確かな熱を持って広がっていった。
ピアノの上には誰かからの贈り物やエーデルワイスの花束、床の上には散らばった幾つかの楽譜。この聖なる夜の為にと、ほぼ即興で書き起こしたものだ。
彼の演奏を妨げるものは無く、はっきりと分かる観客は傍らの勇敢な友人のみ。それでも、真は至って上機嫌に、誰に届くとも知れない弾き語りを楽しんでいた。
これは永遠の旅の、とある一ページ。
誰が贈ったか、或いは彼が誰かに贈ろうとしたのか。
エーデルワイスの花言葉は『勇気』、または『大切な思い出』――
※担当『白夜ゆう』