イラストSS

　ふわりふわり。
　ガラスの向こうで、頼りなく、けれどとめどなく、雪が降り続いている。
　視線を下向ければ、庭は雪にすっぽりと覆われ、白一色だ。
　外は寒いのだろう。ガラス越しに冷気が忍び込んでくる。
　シュリセルは外にむけていた視線をガラスへと移し、そこに映る自分の姿を眺めた。

　スカート部分が広がったオフショルダーのミニドレスは落ち着いた赤。
　ドレスにあしらわれた金のレースは、パーティの気分を盛り上げる華やかさ。
　ドレスを飾るリボンとちらりと覗くペチコートは緑。その差し色が遊び心を添えて、ぐっと可愛らしさをアップしている。

　日頃は鍛錬に明け暮れているけれど、オシャレして楽しむことだって乙女の鍛錬、大切なメソッド。

　ドレスに合わせて、チョーカーとブレスレットもしてきたけれど、何よりもシュリセルを鮮やかに彩っているのはアクセサリーではなかった。
　サイドを編み込みでまとめ、そこからなおも長く流れるカーマインの髪。意志を宿してきらめく瞳は生きた宝石。
　生き生きとした魅力こそが、シュリセルを輝かせている。

　シュリセルはガラスに映る自分へと、冷たい果実のジュースを掲げた。
　進み続ける。そしていつか必ず到達する。
　自分の決意への――乾杯を。

※担当GM『月舘 ゆき乃』